USCPA(米国公認会計士)という資格について、最近聞くことが増えたな〜と思いませんか?
日本が円安だったり、給料が上がらなかったり、海外の方が魅力的に感じる中で、国際的に活躍できる資格ってないかな〜と探しているうちにUSCPAにたどり着いた方も多いはずです。
そしてかつての私もその1人であり、現在はUSCPA試験に無事合格し、Big4監査法人で会計プロフェッショナルの一員として充実した日々を送っています。
ワークライフバランスも改善され、給料も上がり、リモートワークも増え、無駄な飲み会もなく、フラットな社内の風土で仕事ができる。
こんな環境は、USCPAがなかったら得られなかったと思うとゾッとします。
そこで、そんなUSCPAの資格ってどんなものなのか?試験制度やキャリアについて簡単にご紹介していきます。
興味のある方はぜひこのまま読み進めてください!
USCPA(米国公認会計士)とは?
USCPA(United States Certified Public Accountant)は、その名のとおり、海を挟んだ向こう側の国、アメリカ合衆国で認定されている公認会計士の資格です。
アメリカ以外でも受験できるし、日本にいながらしっかりライセンスも取得できる魅力的な資格なんです。
① USCPAのカンタンな概要
USCPAは、「ビジネスや会計ルールに詳しいプロフェッショナルですよ!」ということを証明できる、国際的にもかなり知名度の高い資格です。
会計分野で言えばACCA(英国勅許会計士)と並んで人気の国際資格といえます。
そんなUSCPAの簡単な概要は以下の通り。
- 試験の主催者:AICPAというアメリカの公的機関
- 試験会場:アメリカの国家資格であるものの世界各地に受験会場がある(日本会場は東京(御茶ノ水)・大阪(中津)の2箇所で受験できます)
- 出願方法:州ごと(私はワシントン州のライセンスを保有しています。州ごとに受験資格やライセンス取得に必要な大学の単位数が違ったりします)
- 試験内容:必須3科目+選択1科目(出願は州ごとですが試験は統一された内容のため難易度は変わりません)
- 受験料:1科目約10万円(年々値上げ傾向なのに注意)
- 予備校代:30〜80万円
- 試験難易度:日本の公認会計士ほどではないがかなり高め
- 勉強時間1,500〜2,000時間
取得まではかなり大変ですが、合格後には日本国内外にとどまらずキャリアの選択肢が広がります。
最近では日系グローバル企業でもUSPCAが認知されるようになり、新卒の時は行けなかったような大企業からもLinkedIn経由でバンバンスカウトメールが来たりします(まじで)。
また日本国内でも受験生が増加傾向にあり、特にここ数年はかなり知名度が上がってきている資格と言えます。
② USCPAと日本の公認会計士の違い
USCPAと日本の公認会計士は、難易度だけでなく専門知識の範囲など色々な点で異なります。
個人的に一番大きな違いは、日本の会計士であれば可能な「会計事務所」を開いての独立が、USCPAではできない点だと思います。
それでも日本で独立・起業しているUSCPAやフリーランスとして活躍しているUSCPAもいるので、人生の切り開き方次第ではないかと考えています。
特にUSCPAはアメリカの会計基準や税制に精通していることを証明するので、英語を扱えることの証明であるのはもちろん、グローバルに展開している外資系企業でも活躍しやすいです。
逆に違いがない点としては、Big4監査法人であれば日米会計士関係なく入所できるチャンスがあります。
私自身、Big4に入所できたのもUSCPAがあったおかげと言えます。
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USCPA(米国公認会計士)の資格取得プロセス
そんな魅力的なUSCPAですが、資格取得プロセスはかなり複雑です。
受験資格を得るのもそれなりに面倒なのと、試験に合格するにもそれなりにしっかりした準備と勉強が必要です。
以下のようなUSCPAの勉強に特化した予備校に入るのはほぼマストと言えます。
① USCPAの「受験資格」の確保
USCPA資格取得のプロセスは、まず受験資格を確保することから始まります。
この「受験資格」がなかなか厄介ものです。
会計や経営について全くの初心者でも受援資格を得ることは可能ですが、追加での会計学やビジネスに関する単位を取得する必要があります。
日本の公認会計士試験は誰でも受験可能となっているだけに、受験までのハードルはUSCPAの方が高いと言えます。
受験資格については以下でご紹介しています。
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② USCPAの試験内容
受験資格を得たら、続けてUSCPAの試験に進みます。
試験科目は以下の通り。
- コア科目3科目:合格必須
- ディシプリン(選択)科目:3科目あるうち1科目に合格する必要がある
それぞれの科目について簡単にご紹介します。
以下の3科目が「コア科目」と呼ばれる、必ず合格する必要のある科目です。
- FAR(財務会計): 簿記2級のレベルが主な出題範囲。アメリカの会計のルールやそれぞれの勘定科目の処理方法についての理解が求められる
- AUD(監査及び証明業務): いわゆる「会計監査」と呼ばれる会社の財務諸表をチェックする仕事の理論を学ぶ
- REG(米国連邦税法及び諸規制): アメリカの税法を中心に商法などのビジネス法を学ぶ
次に、以下が「ディシプリン(選択)科目」と呼ばれるもので、3つの科目の中から1つを選んで合格する必要があります。
- BAR(ビジネス分析と報告): コア科目であるFARに似ている。財務会計の範囲に加えて、原価計算・ファイナンス・政府会計など広く浅く学ぶ必要あり
- ISC(情報システムとコントロール): 経理や内部統制と切り離せない、会計システムに関する科目。システムのリスク管理やIT監査も範囲
- TCP(税務コンプライアンスとプランニング): コア科目であるREGに似ている。税務コンプライアンスとプランニングでは、税務計画、コンプライアンス、税務戦略に関する深い知識が求められます。税法の適用と税務リスク管理に重点が置かれています。
2024年から試験制度が大きく変わったので、これからUSCPAを目指したい方にとってはベストタイミングと言えます!
USCPAのキャリアパス
USCPAは冒頭でもご紹介したとおり、会計および財務の専門家としてのキャリアを広げてくれる魅力的な資格です。
国内外での職業機会が豊富で、USCPAを持っていることでキャリアの選択肢は大きく広がります。
① USCPAとしてのキャリアの展望
USCPAとしてのキャリアは多様です。
- 会計監査
- 会計アドバイザリー
- 税務アドバイザリー
- FAS
- 外資系企業・日系企業の経理や内部監査
- FP&A
- コンサル
など、多くの分野で活躍の場があります。
私自身は、1番目・2番目に記載した会計監査と会計アドバイザリー業務の経験を得ることができました。
これによって、日系の大手グローバル企業や外資系企業の経理の求人がものすごい頻度で来るようになりました笑
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また、コンサル業界においてもUSCPAの活躍の場は多いです。
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② 海外で働ける可能性も広がる
USCPAを取得すれば、ワーホリのような過ごし方ではなく、会計のプロフェッショナルとしてそれなりの待遇で海外で働くチャンスもあります。
例えば過去に以下のシンガポールに関するツイートをしましたが、日本より待遇はいいです。
【USCPAのシンガポール転職】
シンガポールの転職エージェントからもらった現地日系会計事務所のJDみました。シンガポールは専門職か否かでビザが変わり、年齢で最低月収も変わるそうです。30代前半USCPAだと約7,500SGD。今は1SDG=105円くらいなので、月収80万円はヤバい。— USCPA職人 (@uscpa_shokunin) October 26, 2022
このような海外の会計事務所はもちろん、日系グローバル企業に転職して海外赴任・駐在も叶えやすい点で、しっかり給料をもらいながら海外経験を得られるのはUSCPAの魅力といえます。
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③ 新卒にも有利
さらには、USCPA資格を持つ新卒はもちろん、学習中の方でも就職活動を進める上で大きなアピールポイントになります。
USCPAを在学中に取得する学生はまだ少ないと思いますが、全科目合格すればそれだけで大きな武器になりますし、社会人になった後でも合格すれば転職時にかなり有利に働きます。
アラサーである私自身がUSCPAに合格してそれを実感しているので、20代の方は転職する上で何も心配いらないと思います笑
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まとめ|USCPA資格の魅力とキャリアパス
以上のとおり、USCPAについて簡単にご紹介してまいりました。
USCPA資格は、国際的な会計・財務のプロフェッショナルキャリアを歩みたい方にピッタリな資格と言えます。
私自身も、USCPAに合格して本当に良かったと思いますし、自分の将来の選択肢を大幅に広げられるようになったと感じます。
一方で、USCPAは受験費用も高いのでコスパが悪いと思われる方もいますが、合格さえすれば食いっぱぐれることのない超優良資格だと思います。
ぜひ今回の記事が、USCPAの将来性について知りたい方のお役に立てば嬉しいです。
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