- 新卒USCPA(米国公認会計士)でもBig4に入社できるのか分からない
- 新卒USCPA向けのBig4キャリアにどんなものがあるか分からない
このようなお悩みにお答えします。
事業会社からBig4監査法人に転職し、働きながらUSCPAに合格した私が、「新卒USCPAもBig4を就職先の1つとして考えるのは妥当か?」という目線で調べてみました。
結論から申し上げると、入所できます。しかもUSCPAに合格していることで、内定の可能性はより高くなると考えられます。
詳しい内容を早速見ていきましょう!
新卒USCPA(米国公認会計士)でもBig4に入社できる理由3選
新卒の方の中でも少しずつ認知度が高まっているBig4に、USCPAを持っていることで入りやすい3つの理由を見てみます。
①ただでさえUSCPAの希少価値が高いから
社会人経験の有無とは関係なしに、そもそも日本国内にいるUSCPAホルダーは非常に少ないです。
つまり、会計・英語の高いスキルを持った人材が少ないことを意味します。なのでBig4監査法人としては、すでにUSCPAに合格しているハイスペックな高い若手人材であればいくらでも採用したいと思うはずです。
特にITコンサル・会計アドバイザリー領域での売上が拡大傾向にあるので、新卒USCPAにもそのようなコンサルティング領域での活躍の場が広がっていると感じます。
②採用側の「早く一人前になってくれるだろう」という期待値が高いから
また、Big4採用担当側の思惑としては、「早く一人前になってほしい」という視点でも採用活動を進めるはずです。
- 色々任せたら大変かもしれないが、USCPAに合格するだけの能力があるのだから、実務に早く慣れてくれるだろう
- きっと、通常よりも速いペースでクライアントに付加価値を提供できる人材になってくれるだろう
という期待が、USCPA新卒の採用を加速させるのではと考えています。
③Big4の領域が多様化しているから
Big4と聞くと、「日本の会計士試験を突破した人だけが行く場所なのでは?」と思う方も多いのではないでしょうか。
たしかに監査法人としての知名度が大きいですが、実際のBig4でのポジションは非常に多様になってきています。
そして実は、監査「以外」の領域こそ、Big4がこれから狙っている新たなマーケットなのです。
たとえば、以下の図表は週刊東洋経済からの抜粋です。
週刊東洋経済(2022年11月5日号)より
図表のとおり、昨今のコンサルティング業界は特にIT・デジタル領域での仕事の受注が活発化しています。
ここ数年は特にアクセンチュアが総合コンサルティング会社としての強みを生かして、マッキンゼー・BCGといった外資系戦略コンサルの領域をも飲み込むような形で勢力を拡大しています。
コンサル業界という点ではBig4も例外ではなく、さながら
- 会計Big4
- 戦略コンサル
- 総合コンサル
といった以前まで主戦場が分かれていた各分野のライバルたちが入り交じり、デジタル領域のマーケット拡大のため、互いにしのぎを削っている状況なのです。
さらにITコンサルの領域は、
- DX(デジタルトランスフォーメーション)
- Web3.0
- NFT
- メタバース
といった新しい概念が次から次へと生まれ、需要が非常に高まっている状況です。
これを踏まえると、Big4の採用側も「中途やJCPA合格者だけでなく、今後はUSCPAを持った新卒などの優秀層も早めに獲得しなければ!」と考えて動くのは自然な流れではないでしょうか。
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新卒USCPAがBig4にエントリーできるポジション3選
それでは、USCPAに合格した新卒の方が狙えるBig4のポジションはどのようなものがあるのかを見ていきます。
なお、各Big4は以下リンク先のような新卒向けページを設けていますのでご参考にされてください。(のぞき終わった後に、よろしければ本記事の続きをお読みいただければと思います)
①コンサルティング領域
近年のIT・デジタル領域のコンサルが活況な情勢を踏まえ、Big4系列の各コンサルティング会社も採用意欲を非常に高めています。
特に、DX領域での効率化に関するコンサルはかなり伸びている分野だと感じています。
たとえばPwCは以下のように、「PwCに新卒で入社した方がどんな働き方をしているか?」が分かるよう丁寧にnoteまで作っています。
PwC公式HPより
拡大しているにもかかわらず人手が不足している分野であることから、より専門的なスキルをもったUSPCA合格者は大変重宝されると推察できます。
②IT領域
ITコンサルといえど、ジャンルは非常に多岐にわたります。
非常に面白いと思ったのが、たとえばデロイトは会社ごとに職務を分けて新卒採用を行っている点です。
システム監査やデータ分析はトーマツの監査法人がやっていたり…。
システム監査・システムリスクコンサルタント(CA)
デジタルガバナンスコンサルタント(Digital Governance)
データ分析コンサルタント・データサイエンティスト(Deloitte Analytics) など
あるいはサイバーセキュリティの分野は、別部隊として「デロイトトーマツサイバー合同会社」にて業務を受注しているようです。
他のBig4も含めてIT領域は面白そうな分野がたくさんあるので、色々なポジションをチェックしてみるのがおすすめです!
③会計アドバイザリー領域
個人的には一番アツいポジションではないかと考えているのが、この「会計アドバイザリー(非監査証明業務)」のポジションです。
監査法人ランキングでもお伝えしていますが、Big4監査法人が行う「会計」に特化したコンサルティング業務ですので、デジタル領域とは少しテイストが変わるかもしれません。
しかし、会計アドバイザリーも大変な活況で、Big4監査法人の業績はいずれも以下のとおり増収となっている分野です。(ちなみにBig4 FASは、以下のBig4監査法人とはまた別会社となります)
順位 | 監査法人 | 2022年度 | 2021年度 | 増減金額 | 増減% |
1 | 有限責任監査法人トーマツ | 52,670百万円 | 40,452百万円 | +12,218百万円 | +30.2% |
2 | PwC あらた有限責任監査法人 | 28,252百万円 | 26,842百万円 | +1,410百万円 | +5.3% |
3 | 有限責任あずさ監査法人 | 25,665百万円 | 21,985百万円 | +3,680百万円 | +16.7% |
4 | EY 新日本有限責任監査法人 | 16,765百万円 | 15,331百万円 | +1,434百万円 | +9.4% |
こちらでの経験を積んでおくことで、次に転職を考えたときにも
- 監査法人の会計監査(本業である監査証明業務)
- FAS
- コンサル
- 事業会社の経営企画・経理・財務
といった様々な領域へのステップアップも図れるようになります。
このように食いっぱぐれる心配がないというだけでなく、会計アドバイザリーはコンサルの中でもホワイト部門と転職エージェント「MS-Japan」から伺っていますので、ワークライフバランスを重視してコンサル業務に携わりたい方におすすめです。
なお、各Big4監査法人の会計アドバイザリー部門は以下の名称なので、エントリーされるポジションが間違っていないかを事前にチェックされるといいかもしれません。
- 有限責任監査法人トーマツ:Accounting Advisory部門
- PwC あらた有限責任監査法人:財務報告アドバイザリー部 ※2022年夏より事業会社部門・金融機関アドバイザリー部門が統合
- 有限責任あずさ監査法人:AAS事業部(アカウンティングアドバイザリーサービス)
- EY新日本有限責任監査法人:FAAS事業部・金融事業部
これからUSCPAを目指そうか悩む新卒にもチャンスあり!
最後に、「USCPAなんて合格していない」「USCPAに興味があるが目指そうか悩んでいる」といった方にもチャンスはまだまだあります。
仮にUSCPAに合格していなくとも、
- USCPAの勉強を既に始めている
- USCPA試験4科目のうち1~2科目だけ合格している
といったことだけでも、Big4に新卒エントリーする際に履歴書に書ける大きなアピールポイントとなります。(他の志望先でも強力な武器になるはずです)
私自身も、USCPAの勉強を始めたばかりの状況でBig4監査法人から内定をいただけた経験があるので、USCPAという資格の強さは本物だと考えています。
まとめ:新卒USCPAのBig4でのチャンスは広がっている!
以上の情報を踏まえると、私個人としては新卒USCPAこそ、自分が興味を持ったBig4のポジションにどんどんチャレンジしていくべきだと思います。
あまり知られていないかもしれませんが、海外ではBig4すべてが就職先ランキング上位10以内にランクインしています。
UNIVERSUM Top 50 World's Most Attractive Employers Global Business Ranking 2021より
この理由は、海外Big4の年収が高いというだけでなく、Big4という職場が、次にどこへ転職しても食いっぱぐれず、あらゆる企業で求められるスキルを得られる場所だからと思われます。
私自身も、監査法人にUSCPAとして勤務していることで自分のスキルがどんどん蓄積している実感があります。
是非、新卒の皆さんも恐れずにBig4へチャレンジしてほしいと思っています!