USCPA(米国会計士)・ACCA(英国勅許会計士)・公認会計士・税理士といった会計系資格を取得していることで得られる試験免除制度を知りたい
このようなお悩みにお答えします。
今回の記事を読めば、どの資格を保有していればどの試験科目が免除になるのかについて明確にできると思います。
USCPA(米国会計士)合格後に免除できる試験
まずはUSCPA(米国会計士)合格後に免除できる試験をご紹介します。
免除できる試験 | |
ACCA | 8科目(13科目中)免除 |
公認会計士 | ー |
税理士 | ー |
大学院修士 | ○(ロンドン大学) |
相互承認国会計士 | ○ |
残念ながら、USCPA全科目合格者やUSCPAホルダーは日本の公認会計士・税理士試験を免除することはできません。(日本は米国との相互承認制度に参加していないため)
一方で以下の国の会計士については、相互認証制度を活用することで試験を受けずにライセンスを取得することができます。
- South African Institute of Chartered Accountants:南アフリカ共和国
- CPA Australia:オーストラリア
- Chartered Accountants Australia and New Zealand (CAANZ):ニュージーランド
- CPA Canada (CPAC):カナダ
- Hong Kong Institute of Certified Public Accountants (HKICPA):香港
- Chartered Accountants Ireland (CAI)・Institute of Certified Public Accountants in Ireland (CPA Ireland):アイルランド
- Instituto Mexicano de Contadores Publicos (IMCP):メキシコ
- Institute of Chartered Accountants of Scotland (ICAS):スコットランド
NASBA HPより
さらには、ライセンスをしっかり取得したUSCPAホルダーであれば、ロンドン大学の会計学修士過程に無試験で入学できる制度があります。
元々はACCAホルダーだけだったのを、対象をUSCPAホルダーにも拡大した形となっています。
これにより、クマガワさんのブログでもご紹介されているような、
- USCPAorACCAライセンス取得
- ロンドン大学修士号取得
- 日本の博士号取得
- 日本の公認会計士試験の短答免除&論文科目の一部(会計学・経営学)免除
といった道も開けると思います。
個人的には、せめてUSCPAホルダーに対して、公認会計士試験の監査論(USCPAでいうAUD)くらいは免除してほしいのが本音です。
しかし、きっとこれも「公認会計士法がアメリカと日本では全然違うだろ!」といった理由ではじかれてしまう気もするのが残念です...。
もしUSCPAに挑戦しようか悩んでいる方は以下のおすすめUSCPA予備校を比較してみてください。
ACCA(英国勅許会計士)合格後に免除できる試験
続けて、USCPAと双璧をなす会計系の国際資格である「ACCA(英国勅許会計士)」の合格後に免除できる試験をご紹介します。
免除できる試験 | |
USCPA | ー |
公認会計士 | ー |
税理士 | ー |
大学院修士 | ○(ロンドン大学) |
相互承認国会計士 | ○ |
ポイントは以下のとおりです。
- USCPA・日本の会計士・税理士の免除はない
- ロンドン大学修士課程に試験なしで進める
- 相互承認国でのライセンス取得が可能
USCPAと同じように見えますが、重要なポイントが2点あります。
- USCPA試験は受験資格を満たすところから4科目受験までの全てを一般受験生と同様に受けなければいけない
- 相互承認制度で提携している国が違う
特に意外なのが、
USCPAホルダーにはACCAの科目免除制度があるが、ACCAホルダーにはUSCPA試験の免除はない
という点です。
これに関するACCAの見解は以下の通りです。
USCPAは、米国で最も人気のある職業会計士の資格です。
ACCAのメンバーの多くがUSCPAを受験し、合格しています。
現在、ACCAは、全米会計士協会(NASBA)や米国公認会計士協会(AICPA)の共同機関である国際資格評価委員会(IQAB)と相互認証協定を結んでいません。
<中略>
USCPA資格を取得するためには、認定された大学で少なくとも150単位を取得し、一連の試験に合格し、経験と倫理の要件を満たす必要があります。
米国で認定された大学以外で教育を受けた場合、米国で取得した単位に相当する時間数を確認するために、教育内容の評価を受ける必要があります。
この評価は、ケースバイケースで行われます。ACCA HPより
この背景としては、「USCPAはアメリカの国家資格だが、ACCAはACCAという1つの団体が提供している資格」であり、それぞれの資格の影響力が違う(ACCAよりUSCPAの方が強い)ことが挙げられると思います。
また、ACCAが相互承認制度で提携している国は以下のとおりです。
- UAE
- オーストラリア
- ニュージーランド
- ブルガリア
- 香港
- マレーシア
- スリランカ
ACCA HPより
上記のように、アメリカとイギリスでは提携している国が微妙に違う点はチェックしておきましょう。
アメリカ(USCPA) | イギリス(ACCA) | |
南アフリカ | ○ | ー |
オーストラリア | ○ | ○ |
ニュージーランド | ○ | ○ |
カナダ | ○ | ー |
香港 | ー | ○ |
アイルランド | ○ | ー |
メキシコ | ○ | ー |
スコットランド | ○ | ー |
UAE | ー | ○ |
ブルガリア | ー | ○ |
マレーシア | ー | ○ |
スリランカ | ー | ○ |
ふと気がついたのですが、この表を見る限りACCAホルダーが無試験でUSCPAホルダーになりたい場合は
- イギリスでACCA取得
- オーストラリアorニュージーランドのCPA取得(←イギリスと相互承認しているのを活用)
- アメリカのCPA取得(←オーストラリアorニュージーランドと相互承認しているのを活用)
といった順番で相互承認制度をフル活用すればいいのでは?という気もします。
ただ、「そもそもイギリス・アメリア両国のライセンスを取得する必要があるのか?」を考えてから検討してもいいかもしれません。
公認会計士合格後に免除できる試験
これまではアメリカ・イギリスにおける公認会計士について解説しましたが、日本の公認会計士の免除制度についてもご紹介します。
免除できる資格試験 | |
USCPA | ー |
ACCA | ー |
税理士 | ○ |
大学院修士 | ー |
相互承認国会計士 | ー |
行政書士 | ○ |
中小企業診断士 | 1次:財務・会計 |
不動産鑑定士 | 会計学 |
先ほどの表から「行政書士」「中小企業診断士」「不動産鑑定士」の3項目を追加しました。
なぜならこれらの試験科目には、日本の公認会計士の論文式試験に合格していることで免除できる科目が存在するためです。
中でも行政書士については、公認会計士であれば試験をまったく受けることなく登録することができます。
また冒頭でもお伝えしたとおり、日本の公認会計士はUSCPA試験やACCAの試験を免除することはできません。(相互承認していないため)
税理士合格後に免除できる試験
最後に、日本の税理士試験合格後の免除制度についてご紹介します。
免除できる試験 | |
USCPA | ー |
ACCA | ー |
公認会計士 | 短答:財務会計論 論文:租税法 |
大学院修士 | ー |
相互承認国会計士 | ー |
行政書士 | ○ |
中小企業診断士 | 1次:財務・会計 |
不動産鑑定士 | ー |
公認会計士との共通点が多いですが、ポイントは以下のとおりです。
- USCPA・ACCA・海外会計士試験の免除はない
- 公認会計士試験については一部の科目免除のみ存在する
- 公認会計士と同様、行政書士に無試験で登録できる
- 公認会計士と違って、不動産鑑定士の免除はない
公認会計士を保有していることによるメリットは多い一方、税理士だとそれよりもやや限定的になる印象を受けます。
しかし、税理士が超難関の国家資格であることには変わりはなく、免除される試験もちらほらあるので選択肢は広がると言えます。
まとめ:目指すキャリアによって免除制度を有効活用するのがおすすめ
以上のとおり、USCPA・ACCAをはじめとする会計系資格の免除制度について解説しました。
日本・アメリカ・イギリス関係なく、公認会計士という資格は難易度の高い資格という認識ですので社会的評価は非常に高いです。
その一方、自分の目指したいキャリアによってどの資格を取得すべきかは大きく変わってくると思います。
ぜひ今回の記事が、皆さんの次のキャリアアップ・更なる資格取得のために有効活用していただければ嬉しいです。