USCPA(米国公認会計士)試験の中では最後の科目にすることが多いREGですが、突破するためのコツがつかめずに苦戦する方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の記事を読み進めていただくことで、REGの
- 学習範囲
- 勉強法
- 勉強時間
- 問題傾向
- 時間配分
について理解を深め、USCPA試験の合格までの期間を短縮するのに役立つ情報をお届けできると考えています。
それでは早速まいりましょう!
REGの範囲:主に税法・ビジネス法
REGの学習分野は、主に以下の2点です。
- 税法(米国内の個人・法人の税制)
- ビジネス法(民法・商法)
日本の会計士試験でいう租税法と企業法の一部が合わさったようなイメージです。
しかし、日本でいう会社法や金融商品取引法については出題範囲外となっています。
REGの勉強時間:約350~500時間
私がかかった勉強時間は約400時間です。内訳としては、受験1回目で250時間、2回目で150時間程度です。
4科目めの科目なので、REG開始直後は「ある程度勉強すれば合格ラインが分かるだろう」と高をくくっていました。
しかし、実際に学習を始めてみると、REGについてはある程度MC・TBSをこなしても実力がついている実感が薄かったです。
結果として、受験1回目はスコア66で不合格、2回目もコンスタントに勉強したところスコア75でのギリギリ合格となりました。
2回目の受験直後も自信がなく「3回目もあるかな…」と思っていた矢先の合格通知だったので、REGは唯一、自分の感触と結果が一致しない科目でした。
ただ、1回目ではほぼ対策していなかったビジネス法を2回目では入念に準備したのもあり、本番でも動揺せずにMCを解けたことが勝因のひとつだと考えています。
1回目・2回目の勉強内容をまとめると以下のとおりです。
1回目
・MC2周・TBS2周
・Indivisual,Ccorp,Scorp,Partnership,Basisの各論点まとめ・暗記
・過去3~4年分のリリース問題を1周
・サンプルテスト
2回目
・MC2周・TBS1.5周(特にBook⇔Tax調整)
・Indivisual,Ccorp,Scorp,Partnership,Basisの各論点まとめ・暗記
・過去6~7年分のリリース問題を2周
・サンプルテスト
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REGの勉強対策(初期):税法の理解と暗記メイン&ビジネス法はリリース問題をベースに暗記
REGは法制度を学ぶ科目である以上、学習開始時は理解重視で進める必要があります。
税法を理解するうえで、アメリカという国の背景を想像しながら学習するといいです。
たとえば、
- 寄付文化が根付いている
- 移民が多様である
といった背景があることで、寄付金控除やマイノリティの方に対する優遇制度が整っています。
あるいは頻出論点として、「Capital Assets(資本資産)の保有期間が1年を超えるか否かで税率が変わる」といったものがあります。
- 保有期間1年以上の場合:Long term capital gain/loss(長期資本損益)となり税率が下がる(優遇措置がある)
- 保有期間1年以内の場合:Short term capital gain/loss(短期資本損益)となり税率はOrdinary Income(通常所得)と変わらない
長期資本損益にはなぜこのような優遇措置があるかと言えば、国側からすれば「国の経済成長を促すため、お金を株式や不動産といったものに投資&長期保有してほしい」という背景があるためです。
このように、「この制度はどのような背景があって優遇措置が認められているのか?」をイメージしながら覚えると理解しやすいです。
税法の個人・法人・パートナーシップの理解と暗記は最優先
さらに、税法で学習する
Indivisual(個人の所得):adjusted gross income / standard deduction or itemized deductions / tax credit の各数値
Shareholders・C corporation・S corporation・Partnership(株主・法人・パートナーシップの所得):各Basisの計算方法の比較
といった論点を学習するには、深い理解と丁寧な暗記が必須です。
Indivisual についての税務申告フローは分かりやすいので、まだ暗記でカバーできる部分が多いです。
しかし、Shareholders(株主)・Ccorp,Scorp(法人)・Partnershipの論点は、Basisの高いレベルでの理解なしに突破することはほぼ不可能です。
USCPA界隈でよく言われる言葉ですが、「Basisを制する者はREGを制す」は真実です。
Basisについては、MCでもTBSでも驚くほど出題されますので、ここにREGの勉強時間の半分を費やしてもいいくらいです。
Book/Tax調整もMCでもそこそこ出る。TBSではほぼ必須
また、税法で重要な論点のひとつに、FARで学習した税効果会計(DTA,DTL,DTE)に関連するBook⇔Tax間の調整があります。
これは、会計基準に則って計算したPL, BSの損益を、税法に基づいて税務申告するのに必要な「損金・益金」を再計算する手続きです。
MCでも出題の可能性が高く、TBSではほぼ毎回といってもいいほどの頻度で出題されます。
税効果会計を忘れてしまった場合は、一度FARのテキストに立ち返って復習するのもおすすめです。
むしろ、私はREGの問題演習をやり始めたばかりのころは、演習のたびに税効果忘れていたため、最終的にFARの内容をREGのテキストに書き込んでいました...。
FARの税効果とREGの税金計算は比較して覚えるのが非常に重要なので、比較表のようなものを自分なりにアレンジして作成すると理解が早まります。
以上から、Book/Tax調整もマスターしておくことを強く推奨します。
ビジネス法は「リリース問題を解きまくる→テキストに戻る」の繰り返し
ビジネス法に関しては
- 契約
- 代理
- 財産
- 株式
- 不法行為
といった個別論点を学習します。
なじみのない英単語もしばしば登場しますが、これも暗記がモノを言う分野です。
ただ、アビタスのテキストをすべて学習するのは非効率なので、時間のない方は「ある程度リリース問題で問題を解いてから、テキストに戻る」という戦略がおすすめです。
もちろんすべてを網羅的に学習しておくに越したことはないので(MCの20%はビジネス法からの出題のため)、最初から丁寧に講義を聞いてMCを解くのもアリです。
しかし、TBSの練習問題はあまり解く必要はないと感じました。
なので、ビジネス法についてはMC・リリース問題をベースに進め、不明点があればテキストに戻るという方法が効率的です。
REGの勉強対策(試験直前期):税法の全体の流れと数値を暗記、ビジネス法も暗記
REGの直前期の勉強はAUDに似ており、取引全体の流れ(REGでいえば税務申告の流れ)を頭でイメージできるようにすることが大切です。
論点を整理することで全体の流れを整理する
個人・法人にかかわらず、アメリカの税務申告には
Gross Income(総所得)
↓
Adjusted Gross Income(調整後総所得)
↓
Deduction(控除)
↓
Taxable Income(課税所得)
という大きな流れがあります。
さらには、Indivisual(個人)のFiling Status(税務申告者のステータス)も
Single(独身)
Married filing jointly(結婚しており夫婦で申告する)
Married filing separately(結婚しているが夫婦別々で申告する)
Head of household(シングルマザーなどの世帯主)
Qualifying widow(未亡人)
など区分されることで、税金を控除するのに適用できるルールが異なります。
このような論点を、問題演習だけで全体の流れをおさえるのには限界があります。
なので、テキストの内容を自分の言葉に置き換えて整理することが非常に重要となります。
とはいえ、ノートに何ページにもわたって論点を書き出す必要はありません。
私の場合は、テキストを丁寧に見直したうえで、テキストの裏表紙に自分の苦手ポイントや頻出ポイントを書き出すようにしました。
模試を受験する
アビタスの場合であれば、申し込んだコースの中に各科目の模試もセットで含まれていると思います。
こちらもMC・TBSをある程度回した段階で、受験してみることをおすすめします。
また、合格者平均点に届いていない場合でも直前までスコアは伸びますので、数十点程度の点差でなければ、あまり結果は気にしなくてもいいと思います。
合格者平均に届かなかった模試の結果を気にするのではなく、模試でつまずいたポイントを書き出して復習するのが何より大切です。
リリース問題・サンプルテストを解く
本番に極めて近いレベルで本試験をシミュレーションできるのが、リリース問題とサンプルテストです。
リリース問題は、アビタスやTACで申し込んだ後にマイページ等で入手できる資料で、AICPAが各予備校に提供している本番レベルに極めて近い問題です。
またサンプルテストは、AICPAのリンクで閲覧できる問題で、本番の形式で本番レベルの問題を無料で解くことができます。
いずれも本番の形式に慣れるのに非常に重要なので、是非フル活用してTestlet1~5までの流れをを把握しておくことをおすすめします。
REGの問題傾向:計算も理論もバランスよく出る
REGは、ビジネス法の理論問題は20%ですが、残り80%を占める税法については理論も計算もバランスよく出る傾向にあります。
他の科目のBARでも計算・理論がバランスよく出題されますが、BARの場合は論点が独立しており、全体の流れはあまり意識する必要はありません。
一方のREGについては、ビジネス法は個別論点になっている一方、税法は個人・法人ごとの全体の流れを理解しておく必要があります。
税法の例
先ほどご紹介したサンプルテストの中から、税法の問題を見てみます。
1年目の12月31日に配偶者が死亡した。この夫婦には扶養家族がいない。
この場合、2年目の生存している配偶者の申告資格は次のどれか?
①Single(独身)
②Married filing jointly(夫婦合算申告)
③Qualifying widow(er)(未亡人)
④Head of household(世帯主)
正解は①です。
REGの税法の中でも、とりわけ夫婦の税務申告に関する問題は頻出です。
なぜならアメリカ社会において、夫婦の離婚、別居、死亡といった問題が、税務上も重要な論点となっているからです。
アメリカ国内において離婚率が高いというのは、耳にした方も多いのではないでしょうか。
REGの学習上も、各個人が税務申告を行う上で、「税務申告者のステータスが今どんな状態か?」を把握することが大事になってくるので、論点も細かく問われたりします。
今回の問題の場合、
- 配偶者は「離婚」ではなく「死亡」している
- 扶養家族(子供や祖父母などサポートが必要な親族など)がいる
といった前提が明記されているので、
- ②Married filing jointly(夫婦合算申告)→配偶者が生存しており、婚姻関係が続いている場合のステータス。今回はどちらかが死亡しているので誤り。
- ③Qualifying widow(er)(未亡人)→配偶者が死亡し、子供等の扶養家族がいる場合のステータス。今回は扶養家族がいないので誤り。
- ④Head of household(世帯主)→配偶者は生存しているが、配偶者と離婚した場合のステータス。今回は離婚ではなくどちらかが死亡しているので誤り。
よって①Single(独身)が正解である、と導くことができます。
ビジネス法の例
もう1問、今度はビジネス法にかかるサンプルテストを見てみます。
公開会社の累積型優先株式の保有者は、常に次のどの権利を有するか?
①優先株式から普通株式への転換
②議決権
③配当金が支払われなかった年の配当金の繰越
④保証された配当金
正解は③となります。
累積型優先株式は、過去に業績が低迷し配当がなかった企業が、当期に営業成績が好転し配当を出す場合、優先して配当金を受領できる権利のことを示します。
一見するとFARの内容にも近しいですが、「普通株式や優先株式が法律上どのように定義されているか?」という点は、REGのビジネス法の範囲に該当します。
先述のとおり、REGの配点比率は
- 税法:80%前後(MC・TBS)
- ビジネス法:20%前後(ほぼMCのみ)
となっています。
受験生によっては、「税法だけ学習すれば合格ラインに達する」といった意見も聞きますが、私の場合はビジネス法をまともに勉強しなかったところ、税法だけでは太刀打ちできず、1回目の受験は不合格でした。
その後、リリース問題をやりこんでビジネス法・税法ともに頭に叩き込んだうえで臨んだところ、ギリギリのスコア75で合格し、晴れて全科目合格となりました。
REGの本試験の特徴
続けて、実際の本試験における特徴をご紹介します。
USCPA(米国公認会計士)の試験形式
USCPA試験はコア科目3つ・選択科目3つ(うち1科目を受験)から構成される試験で、各科目の概要は以下のとおりです。
科目 | 目安時間配分 | テストレット・問題数 |
FAR(コア科目) | No.1:40分 No.2:40分 No.3:45分 休憩:15分 No.4:70分 No.5:45分 |
No.1:MC25問 No.2:MC25問 No.3:TBS2問 No.4:TBS3問 No.5:TBS2問 |
AUD(コア科目) | No.1:55分 No.2:55分 No.3:40分 休憩:15分 No.4:50分 No.5:40分 |
No.1:MC39問 No.2:MC39問 No.3:TBS2問 No.4:TBS3問 No.5:TBS2問 |
REG(コア科目) | No.1:50分 No.2:50分 No.3:40分 休憩:15分 No.4:50分 No.5:50分 |
No.1:MC36問 No.2:MC36問 No.3:TBS2問 No.4:TBS3問 No.5:TBS3問 |
BAR(選択科目) | No.1:40分 No.2:40分 No.3:45分 休憩:15分 No.4:70分 No.5:45分 |
No.1:MC25問 No.2:MC25問 No.3:TBS2問 No.4:TBS3問 No.5:TBS2問 |
ISC(選択科目) | No.1:60分 No.2:60分 No.3:20分 休憩:15分 No.4:60分 No.5:40分 |
No.1:MC41問 No.2:MC41問 No.3:TBS1問 No.4:TBS3問 No.5:TBS2問 |
TCP(選択科目) | No.1:50分 No.2:50分 No.3:40分 休憩:15分 No.4:50分 No.5:50分 |
No.1:MC34問 No.2:MC34問 No.3:TBS2問 No.4:TBS3問 No.5:TBS2問 |
USCPA試験は、テストレット1~5のMC(Multiple choice questions:4択問題)・TBS(Task-based simulations:ケーススタディ問題)を4時間以内に解く試験です。
REGの時間配分・解答時間目安
REGの時間配分と1問あたりの目安解答時間は以下のとおりです。
No.1:50分/MC36問=約83秒/1問
No.2:50分/MC36問=約83秒/1問
No.3:40分/TBS 2問=約20分/1問
休憩:15分
No.4:50分/TBS 3問=約17分/1問
No.5:50分/TBS 3問=約17分/1問
REGもMCはテストレット1・2あわせて72問とそれなりに分量があるので、1問あたり1分ちょっとのペースでサクサクこなす必要があります。
一方でTBSは全科目の中でも最も多い8問の出題です。
TBSに割ける時間も1問あたり17~20分とそこまで多くなく、時には長文を読ませる問題も出てくるので焦らずスピーディーに解くことが大切です。
4時間を通してあまり1問を深く考える時間がないので、時間配分は厳しめに守って臨んだ方が良いと思います。
リサーチ問題
テストレット3~5のTBS8問の中から1問(ごく稀に2問)、リサーチ問題と呼ばれる形式で出題されます。
例えば、「法人のLong term capital gainに関する情報はどこを参照すればいいか」といったお題が出され、コンピューター上の辞書システムを使って正しい参照場所を解答する、といった形式になります。
慣れれば時間の短縮になりますし、他のTBSを解く時間に回せるので、本試験では時間をかけすぎないのが得策です。
難易度変化
本試験において最も大きな特徴が難易度変化です。
日本の会計士や税理士試験とは違い、CBT(Computer Based Testing)というコンピューター形式での出題がされます。
先ほどのサンプルテスト問題をみて「想像より簡単だな」と思った方も多いかもしれません。
しかし、先ほどのサンプルテストは「中程度」部類に属すると思われます。
最初に受けたテストレットの結果によって、その後のテストレットの難易度が変化するのです。
難易度変化の概要は以下のとおりです。
- テストレット1のMCはすべて「medium(難易度中程度)」レベルからスタートする
- テストレット2のMCは受験者のパフォーマンスが良くない場合「medium(難易度:普通)」、良かった場合「difficult(難易度:難しい)」に切り替わる
- テストレット1・2の採点方法は、すべての問題の難易度をふまえて公平に採点される
- テストレット3以降のTBS・WCは、テストレット1・2のパフォーマンスの影響は受けず、難易度変化することはない
ダミー問題
MC・TBSの一部の問題については、採点対象外のダミー問題が含まれています。
ダミー問題の概要は以下のとおりです。
- 問題にはOperational Questions(普通の問題)とPretest Questions(ダミー問題)の2種類が含まれる
- Pretest Questions(ダミー問題)は採点対象外である
例えば、
- 新しい傾向の問題
- 問題文が長すぎて時間がかかる問題
- 異常に難しい問題
といった問題については、ダミー問題の可能性があります。
だからといってダミー問題と決めつけて未回答のまま次のテストレットに進むのはあまり得策ではないので、難しくとも可能な限り解答欄を埋めることを強くおすすめします。
まとめ:序盤は理解優先、徐々に暗記学習を進めることで必ず合格する
以上、REGの特徴についてご紹介しました。
最初はテキストの内容理解を進め、
- 数値の暗記を継続的に行う(忘れては覚えなおすの繰り返し)
- MC・TBSをしっかり回す
- テキストを適宜見直して、論点を整理する
- リリース問題や模試を受ける
- サンプルテストやリサーチ問題で本番形式に慣れる
といった順番で学習を進めることで、必ず結果がついてくる科目です。
他の3科目については、以下の別記事でご紹介しています。
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