USCPA(米国公認会計士)試験に独学で合格できるのか分からない
このようなお悩みにお答えします。
USCPAの学習を始めようか悩んでいる方は、最初の入り口で悩むと思います。
予備校代を払うか、独学で進めるか。
結論から言えば、独学でも合格は可能だと思いますが、できればUSCPA予備校で勉強されることをおすすめします。(独学する上で活用すべきテキスト・問題集について別記事で書いています)
なぜなら、独学には
- 受験資格を満たすのに多大なエネルギーを費やす
- 情報のアップデートが追い付かない
といった2つのリスクがあるためです。
本音を言えば、かつての私も、簿記2級に合格した時のように独学で進められればいいなと思っていました。
しかし、上記のリスクについて悩みに悩んだうえで、予備校(アビタス)への申込を決めました。
確実に、絶対に全科目に合格したいのであれば、予備校の情報網を使い倒す戦略が一番の近道です。
とはいえ、「独学が100%無理!」と言いたいのではありません。
これから2つの視点でUSCPA試験を分析していきますが、「いずれも独学でいける!」という方であれば、チャレンジするのはアリかもしれません。
そんな方のために、
もし独学でUSCPA対策を進める場合の勉強法・勉強時間・費用はどのくらいかかるか?
についてもシミュレーションしたものをご紹介していきます。
独学のリスク①USCPA(米国公認会計士)の受験資格を満たすのに多大なエネルギーを費やす
独学する・しないにかかわらず、最初に考えるべきは「受験資格(受験要件)」です。
日本の会計士試験は誰でも受験可能なのに対して、USCPA試験は州によって大卒以上・会計学XX単位以上必要といった様々な要件を必要とします。
ポイントとしては以下のとおりです。
- 州によっては高卒でも受験資格を得られる
- 高卒・短大卒・大卒で受験資格取得のルートが異なる
- モンタナ州・グアム州・ニューヨーク州・アラスカ州・ワシントン州のいずれかから出願できる
- 受験資格に必要な単位取得は予備校と放送大学のどちらにするかを検討すべき
受験資格については、合格後であればやるべきことを振り返ることができます。
しかし、これから初めてUSCPA試験を受験する方は、受験資格を得るまでのフローが難しいので、受験前に心が折れてしまう可能性があります。
私自身も、受験資格を得て出願できるようになるまで「こんなに時間がかかるのか…」とげんなりした記憶があります。
USCPAの本試験内容にリソースを割くべきなのを、たかだか受験資格を得ることに多大なエネルギーを費やすのは非効率です。
今になって振り返れば、出願フローに時間がかかりそうなのを想定して早めにアビタスに申し込んだ判断は正しかったと思います。
独学のリスク②情報のアップデートが追い付かない
情報のアップデートこそ、独学受験生にとって最大の難所ともいえます。
なぜならUSCPA試験は、日本の資格試験とは比べ物にならない頻度で、試験範囲が変更されるからです。
昨今のUSCPA試験は、会計基準や税法がそれなりの頻度で改正されるだけでなく、2024年には4科目中1科目(BEC)の大幅な変更が控えており、まさに情報戦ともいえます。
そのため、
- 直近ではどこまでが試験範囲か?
- 半年前、数ヶ月前に勉強したところから、試験範囲は変更していないか?
といった戦略を組み立てる必要があります。
試験範囲の変更に合わせて予備校テキストもアップデートされる
私も含め社会人受験生が多いUSCPA試験は、人それぞれ学習ペースが違うと思います。
「前回受験して落ちてから半年くらい経ってしまった…」なんて話もちらほら聞きます。
1科目くらいであれば数ヶ月でリトライできる試験のため、ダラダラと勉強してしまう方も出てくるのです。
すると、何が起きるのか。
「前回と試験範囲が違う!」という、日本の資格試験ではあまり考えられない現象が起きます。
変更点が1つ2つであれば大したことはありませんが、受験生によっては、その1つの変更点が焦りを生むこともあります。
「自分が読んでいるこのテキストは、最新の正しい試験範囲なのか?」と不安になることも、無駄なエネルギーの浪費になりかねません。
そこで、試験範囲のアップデートも予備校に任せてしまうのが得策です。
私がお世話になったアビタスでは、試験範囲の変更があった場合、かなり短期間でテキストと問題を新しいバージョンに更新していたため、受験する側としてはストレスを感じることはありませんでした。
特にアビタスはアカウントも5年間有効なので、長期離脱していても復帰しやすい環境が整っています。
アビタスのパンフレットは以下のリンクから無料&3分で入手できます。
おすすめのUSCPA予備校
アビタス:合格者実績No.1。日本語テキスト&厳選問題で演習したい方向け
リリース問題は各予備校でのみ入手できる
リリース問題とは、AICPA(本試験を作成している米国の公的機関)が、Becker(TAC)やアビタスといった各予備校に対し提供している本試験レベルの問題です。
過去問に似た位置づけのものと考えてよいかと思います。
リリース問題は本試験に似たレベルであり、各年ごとに25~50問ほど提供されるのですが、「リリース問題を制する者は本試験を制す」と言ってもいいくらい重要なものです。
ここで懸念すべきが、予備校経由でないとリリース問題を入手できない点です。
ヤフオクやメルカリで、テキストや問題集はちらほら見かけますが、肝心のリリース問題はなかなか中古市場に出回りません。
特にアビタスの問題集とリリース問題では、微妙に問題の聞かれ方に違いがあり、「せっかくアビタスのMC問題を解いたのにリリース問題が全然解けない」という事態になります。
このような
- 試験前に本試験レベルの問題を解いて焦る
- 自分の合格までの距離感を図る
- テキストや問題集の内容をしっかり復習する
といったプロセスが非常に大切になるのですが、なかなか独学ではこのプロセスを踏めないと思います。
この点を考慮すると、予備校の情報網を駆使して使い倒す、という戦略が必要になってきます。
独学する場合の単位取得方法・勉強法・費用・勉強時間は?
冒頭でもお伝えしたとおり、独学での合格が100%無理というわけではありません。
ある程度戦略を練れば、低コストで合格までたどり着けると思います。
本来であれば予備校への申込が望ましいとは思います。
しかし、「どうしてもコスト面で予備校に行くのが難しい」といった方がいるかもしれないので、その方に合った独学の方法をシミュレーションしてみました。
ちなみに、どうしてもコスト面を気にしている方であればBig4監査法人に転職して法人割引でアビタスに申し込む方法もあります。USCPA合格前でも転職できるので、是非検討してみてください。
独学受験生の単位取得方法
そもそものUSCPA試験の受験資格を得るにあたり、予備校の単位取得プログラムには頼れないと思います。
受験資格の中には、
- 会計学XX単位
- ビジネス系の科目XX単位
といった要件がどの州でも求められます。
予備校に行かない場合の代替案としては、前述したとおり「放送大学」があるかと思います。
ただし、私自身はアビタスで単位取得したので、放送大学で履修した単位がAICPAで会計学やビジネス系の科目として認められるか?については、ご自身で放送大学やAICPAに事前に確認されることをおすすめします。
ちなみに大卒の方の場合、もっとも必要単位数の少ないアラスカ州では
が要件となっていますので、放送大学で単位を取得する場合
7,000円(入学金)+5,500円(1単位)×15単位=89,500円
が最低限必要な費用となります。
加えて、学歴評価に225ドルかかるため、受験資格を得るには15万円前後か、それ以上かかると見込んだ方がいいかもしれません。
ちなみにアビタス経由で申し込むと、1科目(2~3単位)あたり24,200円がかかりますので、放送大学を選べるようであればかなり経済的かなと思います。
また、会計学を履修済みの商学部や経営学部専攻の方であれば、単位の要件は満たしているので上記費用はかかりません。
独学受験生の受験費用:約125万円
実は、本試験の受験料は年々値上がり傾向にあります。
よくUSCPAを知らない方に話すとドン引きされる話ですが、今であれば1科目850ドル前後(出願手数料約200ドル+日本での受験手数料約400ドル+1科目あたり受験料約250ドル)かかりますので
約850ドル×4科目=約3,400ドル(約45万円)
が受験料だけでかかります。
また、テキストに関してはメルカリやヤフオクといった中古市場で調達すればかなり費用負担は軽減になるかと思います。
たとえば各科目のテキスト・問題集を検索すると、1科目あたり3万円前後が相場となっています。
仮に平均の3万円とすると、
くらいがテキスト代・問題集代の相場になります。
ただし、テキスト購入の際は「テキストのバージョンは最新のものか?」という点に留意してください。
以上の費用を合計すると独学受験生のかかるであろう費用(約125万円)ほどになると思われます。
テキスト・問題集費用:約12万円
受験資格取得費用(学歴評価):約3.5万円
受験資格取得費用(単位取得費用):約9万円
4科目受験料:約60万円
その他:約40万円
合計:約125万円
ただし、各受験生の背景によって金額は変動するかと思いますので、目安と捉えていただければと思います。
独学受験生の費用については別の記事で解説しています。
独学受験生の勉強法
基本的な勉強法は、独学受験生も予備校受験生も変わりないと思います。
独学受験生向けのテキスト・問題集に関する記事でも書いてありますが、独学の方の王道パターンは以下の通りです。
- アビタスのテキストを読んだらすぐにアビタス問題集のMCを1周
- 2周目でアビタス問題集のMCだけでなくTBSも解く
- 問題正答率80%以上になるまでテキストのインプット&問題集のアウトプットを繰り返す(3〜5回くらい)
- 必要に応じてWiley or Beckerの洋書問題集を追加で解く
- AICPAの提供するサンプルテストを解く
基本的には「問題を解いたら、テキストへ戻って復習する」の繰り返しです。合格への近道は、これをやり込むだけです。
ちなみに先ほどご紹介したリリース問題は、実は洋書の中でもBecker Onlineに登録すれば1週間だけ閲覧することができます。
ただし、2科目め以降について再度リリース問題を解く際には有料プランに申し込む必要があるかもしれません。
また、Twitterでは受験生が時々有益な情報をつぶやいていることがあるので、「この人は!」と思った方をフォローするのも非常に有効です。
独学受験生の勉強時間:約2,000時間
USCPA試験を独学で受験する場合の勉強時間ですが、上記の私の勉強時間の1.5倍をかけて、以下の時間が必要になるのではないかと思います。
FAR:750時間
AUD:450時間
BEC:500時間(BECについてはライティング問題の難易度が高いのを考慮してさらに時間を積み増ししています)
REG:600時間
合計:2,100時間(約2,000時間)
「予備校生の1.5倍かかる」とした理由ですが、
- インプット期に予備校であれば講師が講義で教えてくれる「ここは大切」「ここは飛ばしていい」といった強弱がわからない
- テキスト・問題集について講師に質問ができないため疑問点・不明点を解決するのに時間がかかる
といった理由から、ある程度自力で問題を解決するスキル&時間が求められると考えています。
詳細については独学受験生の勉強時間に関する記事で解説しています。
まとめ:予備校か独学かは情報収集して判断するのがベター
以上、独学で勉強する際のリスクや、勉強方法・費用・時間などについて解説してまいりました。
独学で進めるかどうかを決めるのは慎重に判断されながら進めるのがいいです。
個人的には予備校も選択肢に入れて検討されることをおすすめします。